私たちが いま 決めるはすべては、未来を決めること

 

東日本大震災から 10年が経とうとしていたある日。

 

美しく水面が光る北上川を横目に過ぎ、どこまでも広い青い空と水平線が一望できる気持ちのよい海を眺めながらいつもの道を車で走っていた時、ふと、なぜかその日は視界に飛び込んできた光景がありました。

 

それが、住民が高台へ移り住んだ後、まるで初めからそうだったかのように取り残され、荒廃した集落跡地でした。

人々が先祖代々暮らしてきた、思い出深いはずの集落の変わり果てた姿です。

 

セイタカアワダチソウやツル草が生い茂った集落跡地(2021年 3月撮影)
セイタカアワダチソウやツル草が生い茂った集落跡地(2021年 3月撮影)
かつての住宅の庭の面影が残ったままの集落跡地(2021年 9月撮影)        
かつての住宅の庭の面影が残ったままの集落跡地(2021年 9月撮影)        

これまでの復興 10年で、私たちが決めてきたこと全てが、自分達やこの町、子ども達の未来にとって、本当に正しい選択だったのか。私たちが走ってきたこれまで 10年の先に「見たかった未来」がこの光景だったのか。

「復興」とは、もっともっと未来のことにも想いを寄せるべきではなかったのか。

 

この先の「あり得る未来」のどれを選ぶのか。なにを子供たちに残すのか。

今ふたたび、その大切な選択を問われている気がしました。

 


これから始めることは、未来を描くこと

 

私たちの新たな挑戦は、そんな震災から 10年目を迎えようとする日の些細な日常のシーンから生まれたものです。

 

硬く乾いた大地、人が訪れることもなくなったその場所を、美しい草木たちが元気に育つ、そこに身を置きたくなる気持ちが良い場所へと再生したい。そんな未来を選びたい。

祈りにも近い思いから始まりました。

 

そして今、石巻市や復興庁、全国の皆様からも応援をいただき、「平地の杜づくりプロジェクト」として小さな行進が始まったのです。